医師の働き方について -これで患者を救えるのか-

この医師の働き方改革に関するニュース、少し前に出ましたね↓

胸部外科関連4学会と厚労省がともに考える「医師の働き方改革」(Medical Note) - Yahoo!ニュース

今回の内容はあくまでも私が一歩外から見て感じたことであって、医療従事者の立場ではないので理解不足な点ありますがご了承くださいませ
医療従事者じゃないからこそ、どう感じたかの意見も大事かなと思ってます
これは医療側の人間だけが声をあげるのではなく、国民(患者)も状況を理解して声をあげる・意見を言う必要があると感じてます

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2024年から始まる厚労省から発表された「医師の働き方改革」ですが、これを受けて医師側(主に胸部外科4学会)の要望・意見があがっています
簡単にいうと(簡単に言うなって感じですが笑)、単に労働時間の上限を定めるのではなく労働時間や内容に関して診療報酬をあげるなど何らかの形で医師に還元するべきだということです。
それ以外に特定看護師との連携やICU(集中治療室=術後に一時的に入る病棟)の管理について提案しています。

 

 

私も医療メーカーとして営業をやっていて多数の診療科の先生と関わってきました
外科でいうと心臓血管外科・救急、整形外科、消化器外科、呼吸外科など

実際にオペにも何度も立ち会い、夜間に緊急オペで呼ばれて自社製品を納品&立ち会いなんかもしました

そこで見えてきたのは外科医の労働環境

7~8時にカンファがあって、そこから外来やる先生もいればオペに行く先生もいる

オペは症例によるけど予定よりも大幅に遅れることもある

その間、緊急オペが入ることもある

終わったらオペの記録業務、病棟行って回診、他カルテ業務や患者家族への説明etc...

加えて論文や研究業務、メーカーからの業務依頼、役割があれば学会業務など

と、これらの業務を働き方改革で提案された時間内でおさめるというのが現実的ではないのかなと

医師の労働時間に制限をかけることっていわゆる、オペしないでください、患者の診察しなくていいです、と捉えられても無理ないと思います

大げさにいうと救える命が救えない可能性が出てくる
(屁理屈みたいな言い方になってしまいますが汗笑)

 

サラリーマンやサービス業だったら残業減らしても、時短にしても実際大きな損害はないと思う(利益などは一旦別にして)

これによって別に取引先が死ぬとか何か悪化するとかないですよね

 

一方、医療機関はまた違うと思う

なので現実的な考え方をすると医療従事者側としては長時間勤務などに手当なり報酬あげるなり、診療点数として加算?するなりで対応するのが合理的な気がします
細かい話し、例えば「今月緊急オペに誰が何回執刀した?対応した?時間外勤務は何時間行ったか」的なことをしっかりカウントしてその医師に還元されないとモチベーションにならないと思う
医者なんだから患者の対応して当たり前だろ、という声もある。確かに当たり前かもしれない。
でもそれに対する対価、評価はきちんとなされるべきだと思う。
そこが曖昧になっている病院・大学はたくさんあると感じてます

外科の勤務医だと平日の終業時間が読めないし、土曜は午前外来やるかたまにオペやってるし、やっとの休みって日曜・祝日くらいです
でもその休日でも当番にあたると当直するし、緊急オペ対応もあるしで自分や家族の時間取れてないのが殆どじゃないかな
こんな労働環境でこの年収か・・・という感じかと思う
もちろん一般の会社員よりは年収高いかもですけど、割には合ってないですよね
下手したら土日しっかり休めてる大手のエリート社員と同じくらいの収入だと思う

この課題は今の医学部生・研修医、若手医師に影響してくると思うんです
研修医時代に診療科を選ぶ時、外科医の収入・労働環境を考えたら選ばなくなる若者が多くなる懸念もあります

そりゃね、外科を選んだのは本人達だから覚悟の上だろ、と言われればそうかもしれないし、それを理解した上で先生たちはこの職務を全うしていると思います
でもこの働き方改革がせっかく検討されているならば、もっとこの医療現場の状況を加味して違う形で指針を出してほしいところです


単に医師の労働時間を制限するだけでは何の解決にもならない

極端かつ不謹慎な表現を覚悟で言うけど、

"労働時間が決まっているので今日はオペできません"

"緊急オペの対応できません" "診察終了しました"

って言えるかな?言えないよね。

この医師の働き方改革が救える患者の命を救えなくなっていくことに値しているような気もします

 

多くの医師はただ労働時間を削ってほしいと思ってるのではなく時間外または連続勤務時間など、超過して働いた時間に対して何らかのインセンティブや手当などで還元されることを望んでいると思う

この点について国・厚労省はもう少し検討してほしい、期待したいです

 

そして患者に対するフォローって主治医になった医師が全て担うのではなくチームとして、例えば特定行為の資格を持っている看護師と連携して分担することも必要

もちろんこれは従来行われているけど、まだその体制が完璧なわけでもない

特定研修を修了すればその看護師も管轄範囲内の医療行為は行えるので医師ではなく特定看護師に任せる動きも活発化してほしい

でもここで問題なのがその資格をもった看護師の業務量が過多になっていないか、適切な手当があるか、ということ

これがないとモチベーションやこれから資格を取ろうとしている若手にとってもプラスにならない

(実際に複数の特定看護師と接してきましたが、通常の看護師業務+特定行為業務で業務量が多く日勤でも22時まで勤務している方が多かったです。またこれに値する報酬もらっているか・・・というのも怪しいものでした泣)

 

こう書いていると課題が山積み+潜在的な問題もまだまだ多そう

 

これって医療従事者だけが声をあげるのではなく、国民(患者側)全体がまずはなんとなくでもいいからこの状況を意識して声をあげてほしいですね

 

今日の内容は一見、医師側を擁護するように見えますが、"患者を救う"ことを考えて書きました

 

医者も何らかの機会で「患者」になることってありますよね

なので医師側・患者側と区別した考えではなく、国民として私なりに考えてみました